ルワンダ発「パンプキン・ベーカリー」 小さな店が地域の未来を変えた
ルワンダ北部・ガツィボで、ある小さなベーカリーが地域の空気を静かに変えている。
名前は Iwacu Bakery Solution。店の外観は控えめだが、朝になると地元の子どもや農家の人が次々と訪れ、かぼちゃ色のパンやドーナツを手にしていく。
なぜ“かぼちゃ”なのか。
理由は、この地域で最も育ちやすく、栄養価も高く、そして何より「農家が安定して収入を得られる作物」だからだ。
地元の農家と一緒に作る“パンの経済圏”
Iwacu Bakeryが取り組んでいるのは、ただの製造ではない。
・地元農家からかぼちゃを買い取る
・加工し、パン・ドーナツ・ケーキへ
・販売して利益を地域に戻す
という“循環型の小さな経済圏”づくりだ。
農家は収入が安定し、若い人の雇用も増える。
ベーカリーで働くスタッフは、パン作りだけでなく流通や販売を体験することで、地域で働くスキルを手に入れている。
小規模な店舗が、ここまで地域の構造に影響を与える例は珍しい。
“特別なもの”ではなく“当たり前の食”にする発想
おもしろいのは、このベーカリーが意識しているのが
「高級スイーツ」ではなく「毎日食べられるパン」
だということ。
かぼちゃの甘みで砂糖を減らしたパン、地元の子どもが学校帰りに買える価格のドーナツ。
「高く売る」のではなく、「地域の生活を支える食にする」という姿勢が一貫している。
その姿勢が支持され、近隣のコミュニティでも“かぼちゃを活用した軽食”を作る店が増え、小さな地場産業として育ち始めている。
小さな店が、なぜここまで地域を変えるのか?
答えはシンプルだ。
「地域にあるもの」で「地域に必要な商品」を作っているから。
・輸入小麦に頼らない
・大量生産と価格競争をしない
・利益が地域内で循環する
こうした仕組みは、地方の小規模店が生き残るための“ヒント”としても強い。
日本の離島や地方都市にも共通する考え方で、Femmee読者にとっても学びの多い事例だ。
Femmee編集部まとめ
Iwacu Bakery Solutionは、派手なマーケティングもない、従業員数も多くない。
でも、
「地域の素材×地元の人の暮らし×雇用の創出」
という一番強いストーリーを持っている。
アフリカの小さなベーカリーの挑戦は、
“規模が小さくてもできることは多い”
ということを静かに証明している。

