再燃するK-Beautyブーム、小さなサロン成功の兆し

2025年、韓国のスキンケアブランドや施術メソッドが、アメリカ市場で再び注目を集めています。 米国美容業界誌やリテールニュースでは、「K-Beautyスタートアップの再進出」が大きく取り上げられ、 トレンドの中心が大手メーカーだけでなく小規模サロン発の“現地適応型メニュー”にも広がり始めていると報じられています。
韓国ブランドの再進出、その背景にある「信頼回復」
数年前、アメリカではK-Beautyの急拡大と同時に、「成分の不透明さ」「通販トラブル」などの課題も浮上しました。 しかし2024年以降は、クリーンビューティー・サステナブル包装を重視する新興韓国ブランドが増加し、 「透明性と技術力を両立するアジアンビューティー」として再び注目を浴びています。
こうした流れを受け、韓国発のブランドだけでなく、 アメリカ現地の小規模スパやスキンケアサロンがK-Beauty的アプローチを取り入れ始めました。
ロサンゼルス郊外の小さなスキンケアサロン、「Glow Theory」
カリフォルニア・パサデナにあるフェイシャル専門サロン「Glow Theory」は、2024年末からK-Beauty発想の “水分レイヤリングトリートメント”を導入。 韓国で一般的な「化粧水→美容液→保湿→鎮静パック」という工程を、 現地顧客向けにアレンジし、軽めの仕上がりと香りを意識しています。
オーナーのErin Park氏(韓国系アメリカ人)はこう語ります。 「米国では“しっとり”よりも“さらっと”を求める声が多い。 でも本質的な“肌バリアを整える”という哲学は、どんな肌にも合う。 K-Beautyは文化ではなく考え方なんです。」
彼女のサロンでは、SNS広告ではなく口コミ中心の集客にも関わらず、 導入後半年でリピート率が約40%から65%に上昇したといいます。
「文化輸出」ではなく「現地翻訳」
従来のK-Beautyが「韓国で流行しているものを海外に持ち込む」輸出型だったのに対し、 2025年のトレンドは「現地顧客の肌と習慣に合わせて再設計する」翻訳型。 小規模サロンがローカルニーズに寄り添うことで、 K-Beautyは“輸入文化”から“地域ビューティー”へと変わりつつあります。
また、ニューヨークやテキサスなどでも同様に、韓国式スキンケア工程を 「敏感肌向けフェイシャル」や「ウェルネススパメニュー」に落とし込むサロンが増加中。 トレンドをそのまま導入するのではなく、顧客体験として再構築する力が これからの小規模サロン成功の鍵となりそうです。
編集部コメント
K-Beautyはもはや韓国の専売特許ではなく、 「肌をいたわる哲学」として世界各地の美容サロンに浸透し始めています。 大企業の輸出ではなく、小さなサロンが地元で再解釈して提供する。 それが2025年の美容業界における、もっともリアルなグローバル化かもしれません。
参照: Reuters「Korean beauty startups bet booming U.S. demand outlasts tariff pain」(2025年6月)、 Premium Beauty News「K-Beauty’s growing influence」(2025年4月)
