北欧の一人ピラティススタジオ、心と体を整える新しい形

スウェーデン・ストックホルム郊外で話題になっているのが、女性インストラクター Elin Larsson(エリン・ラーション) さんが運営する「Mindre Studio(ミンドレ・スタジオ)」。 スタッフを雇わず、すべてを一人で切り盛りするこのピラティススタジオは、単なる運動指導にとどまらず、メンタルケアとボディワークを融合させた新しい形として注目を集めています。
“小さくても深い”スタジオ運営という選択
Elin さんはもともと企業で働いていましたが、慢性的なストレスから心身のバランスを崩したことをきっかけに、ピラティスに出会ったといいます。 数年間の学びを経て、自宅の一部を改装し、2024年にスタジオを開業。セッションは一日最大3名までの完全予約制です。
照明を落とした静かな空間、天然素材のマット、香り控えめのキャンドル。 「忙しさを持ち込まない場所」をコンセプトに、利用者にはスマートフォンを入り口で預けてもらうという徹底ぶりです。
ピラティス×心理カウンセリングというアプローチ
特徴的なのは、Elin さんが心理カウンセラーの資格を持ち、セッション中に軽いカウンセリングを組み込んでいる点。 姿勢の癖や呼吸の浅さから、心の緊張を読み取りながら、体の動きと感情の関係を丁寧にほぐしていくスタイルです。
「無理に励ますより、呼吸の音を聞く方が回復が早いんです」と語る彼女。 ストレス社会の北欧において、“頑張らないウェルネス”として多くの支持を集めています。
SNSより口コミ、そして“人の紹介”へ
興味深いのは、Elin さんがほとんど SNS を使っていないこと。 宣伝はしない代わりに、顧客の口コミや知人の紹介が予約のほとんどを占めるといいます。 「フォロワーを増やすより、目の前の人の信頼を積み重ねたい」という哲学が、リピーターの多さにつながっています。
このような運営方法は、デジタル疲れが指摘される2025年において、 “スモール・マインドフル・ビジネス”という新しい方向性を象徴していると言えるでしょう。
編集部コメント
Elin さんのような小規模経営者は、マーケティングのトレンドを追うよりも、 「なぜこの場所を始めたのか」という原点を発信することで、共感を得ています。 Femmeeが注目するのは、こうした“静かなブランドづくり”。 スケールではなく深さで勝負する女性たちが、これからのウェルネス産業を支えていくのかもしれません。
参照: Swedish Lifestyle Magazine(2025年4月号)、Local Wellness Network Stockholm
