空き時間を“貸す”時代へ|小規模サロンの挑戦

2025年、美容業界では「施術だけに頼らないサロン経営」が少しずつ広がっています。 ニューヨークの小さな美容サロン Casagrande Salon は、 限られた空間と時間を見直し、“空き時間を貸す”レンタルサロンモデルを導入。 結果として、たった600ドル(約9万円)の初期投資で、約36,000ドル(約540万円)の収益を上げたと報じられています。
「施術を売る」から「空間を活かす」へ
Casagrande Salon は、従来どおりヘアサービスを提供しながら、 使用していない曜日や時間帯を活用し、独立を目指す美容師やネイリストへ ワークスペースを時間単位で貸し出す仕組みを始めました。 その発想の転換こそが、この事例の最大のポイントです。
オーナーは、空間の一部を共有することへの不安を抱きながらも、 「場所を分け合うことで、互いの成長を支えられる」と語ります。 美容師たちにとっても、自分の顧客を持ちつつ固定費を抑えられるこの形は、 フリーランスとサロンの中間にある新しい働き方として注目されています。
収益よりも、関係性を生む“空間シェア”
Casagrande Salon の収益モデルは単純に見えますが、 実際には「場所を通じて信頼を共有する仕組み」になっています。 オーナーはレンタル利用者と契約を交わしつつも、ブランドコンセプトや衛生基準を共有。 お互いが同じ理念のもとに働くことで、サロン全体のイメージを守りながら新たな収益源を作り出しました。
このような形は、アメリカで増えつつある「Suite Salon(スイートサロン)」の考え方にも近く、 大きな設備投資をせずに小規模サロンでも取り入れられる仕組みとして広がっています。
小さな場所に眠る、もうひとつの可能性
Casagrande Salon が注目された理由は、SNS広告の成果よりも、 「既にあるものをどう使い直すか」という発想にあります。 多くのサロンが集客の難しさに悩む中、 空き時間・空間・スキルといったリソースを再定義することが、 新しいビジネスチャンスを生み出す鍵となりつつあります。
編集部コメント
美容サロン経営の世界では、技術・顧客・場所の3つをどう活かすかが課題です。 「空き時間を貸す」という選択は、収益を得るためだけでなく、 同じ業界で働く人たちが支え合う新しいエコシステムの形でもあります。 今ある空間を見つめ直すことが、次のチャンスを生む―― それがこの小さなサロンが示した、静かで強い成功のかたちです。
参照: Meta for Business – Casagrande Salon Case Study(2025年2月)
