経済的困難の中でSNSを武器に、キューバ女性ネイリストが活躍
キューバの女性ネイルアーティスト、SNSで新しい働き方を築く

キューバ・ハバナ郊外で、自宅を小さなサロンに変えてネイルアートを施す女性がいる。
彼女の名前は Marisel Darias Valdés(マリセル・ダリアス・バルデス)。
2025年現在、キューバでは経済制裁や物資不足が続き、美容用品の入手も容易ではない。それでも彼女は、自らの技術とSNS発信を武器に、地域とネットの両方で顧客を増やしている。
キューバの女性たちは経済的困難な状況の中でも、派手で盛られたネイルアートブームとなっており、ネイルにお金をかけることをいとわない女性が多い。
自宅がそのままネイルサロンに
マリセルの“サロン”は、古い一軒家の一角を改装した約6畳ほどのスペース。壁に手作りの棚を設け、そこに海外から持ち込んだネイルポリッシュやブラシを整然と並べている。
電力の不安定さや材料の不足は日常茶飯事。それでも彼女はInstagramに完成したデザインを投稿し、「#CubaNails」「#HavanaBeauty」などのハッシュタグを通じて海外のフォロワーを増やしている。
「物がなくても、アイデアは無限。爪の上は私たちの小さなキャンバスよ」
と、彼女はロイター通信のインタビューで語っている。
キューバの美容事情:自由と制約のあいだで
キューバの美容業界は、国家管理経済の中で長く制約を受けてきた。
2011年に個人営業が一部解禁されてからは、理容・美容・ネイルなどのサービス業が女性の起業分野として急速に拡大。
しかし依然として:
- 材料や機材の輸入制限
- 外貨でしか買えない消耗品
- SNSや広告へのアクセス制限
といったハードルが存在している。
それでも女性たちは、自宅の一角をサロン化し、口コミやInstagram・Facebookを通じて顧客を広げている。美容は単なる仕事ではなく、「自立の象徴」でもあるのだ。
編集部コメント
マリセル・ダリアス・バルデスの活動は、物資も資金も限られた環境で「創造性」と「発信力」がいかに強い武器になるかを示している。
彼女のように、身近な空間とスマートフォンを使って小さな経済を動かす女性たちは、キューバだけでなく、世界中のローカルビジネスの未来を映す存在といえる。
【参照】
Reuters: Cuban Women Find Beauty in Hardship: Home-based Nail Artists Thrive Amid Scarcity (2025年)
※一部は現地報道・取材要素に基づく
マリセル・ダリアスさんのinstagram
https://www.instagram.com/mary.art_oficial_/
