カナダの美容室が始めた「予約しない営業日」とは
カナダ・バンクーバーにあるスタッフ2名の小さな美容室が、週に一度だけ「予約を受けない日」をつくり、静かに注目を集めています。完全予約制が当たり前になった今、あえてその逆をいくような働き方。そこには、小規模サロンだからこそ抱えやすい悩みと、それを丁寧に見直した姿がありました。
なぜ“あえて予約を外す日”が必要だったのか
オーナーが最初に感じていたのは、予約管理に追われる日々への疲労でした。
深夜のDM、急なキャンセル、施術中に気にし続けなければならない次の予約時間。仕事が好きなほど、時間に縛られる感覚がストレスとして積み重なっていったといいます。
そんなとき、「一日だけ予約のない日をつくることで、気持ちがどれほど変わるだろう?」という仮説が生まれ、思い切って実行に移したそうです。
ノーアポイントメントデーの運営方法
木曜日を“予約なしの日”と決め、来店してくれた順に案内する。
ただそれだけのシンプルなルールですが、店内の雰囲気は大きく変わりました。
施術メニューは短時間で完結するものに絞り、待ち時間が長くなりそうなときは番号札を渡して近所の散歩に出てもらう。この柔らかい運用が、「ちょっと寄ってみようかな」という気持ちを生み、地元の生活圏に溶け込んでいったのだそうです。
変わったのはオーナーの“気の張り方”
予約制のメリットはもちろん大きいですが、その一方で「時間通りに動かなければ」という緊張感もついて回ります。予約を外した木曜日は、その感覚がふっと薄れ、施術に集中しやすくなったとオーナーは話しています。
時計を気にしない一日があるだけで、週全体のリズムにも余裕が生まれ、気持ちの切り替えもしやすくなったとのこと。働き方の“負荷のバランス”が整ったのです。
新規客とのつながりが自然に広がる
意外な変化として、予約をしないことで新規の来店が増えました。
予約制に抵抗のある人、思い立ったタイミングで髪を切りたい人、散歩中にふらっと立ち寄る人。地域に根づく個人店ならではの強みが、自然と表に現れる形になりました。
売上も大きく落ちることはなく、むしろ短時間メニューが回ることで安定したとの話も印象的です。
日本の個人サロンにも応用できる工夫
毎日を「予約で埋める」ことに疲れているオーナーは多く、特にひとりで運営している場合は精神的な負荷も大きくなりがちです。
そんなとき、この美容室のように週に一度だけ“予約に縛られない日”をつくるという方法は、自分のペースを取り戻すきっかけになります。
SNSで事前に告知するだけでも成立しやすいので、実践のハードルも高くありません。
小さな変化が、働き方を立て直す
サロンの規模にかかわらず、予約管理は日常の中心になりやすいもの。
しかし、仕組みは一度立てたら固定し続ける必要はありません。
週に一日だけ、時計を見ない働き方をつくる。
その小さな調整が、仕事の質や気持ちのゆとりを変えていく。
このカナダの美容室の事例は、そんな“働き方の再設計”のヒントになります。

